プル型生産とは、製品の生産を、需要に応じて行う生産方式のことを指します。つまり、製品が必要になった時点で、その製品を生産するようにすることで、在庫を抑え、ムダを減らし、効率的な生産を実現する生産方式です。
プル型生産では、生産ライン上に在庫を持つことがなく、注文が入った時点で必要な製品を生産します。このため、生産が滞った場合には在庫が蓄積されず、ムダを抑えることができます。
一方で、プル型生産では、生産計画の立案や需要予測が正確でなければならず、迅速な対応が求められます。また、生産ライン上に余剰な人員を配置する必要がある場合があり、人件費の増加などの問題も生じることがあります。
プル型生産は、ジャストインタイム（JIT）などの手法と共に用いられることが多く、製造業界だけでなく、サービス業界でも広く用いられています。需要に合わせて生産を行うことで、在庫を減らし、生産効率を向上させることができるため、企業の競争力向上に繋がります。
プル型生産の成功事例としては、トヨタ自動車の生産方式が挙げられます。
トヨタ自動車は、1950年代に「ジャストインタイム（JIT）」と呼ばれるプル型生産方式を導入し、自動車生産に革命をもたらしました。JITは、製品が必要になった時点で生産を行う方式であり、在庫を抑え、生産効率を向上させることができます。
トヨタ自動車では、JITによる生産方式を実践し、生産のフローを最適化することで、在庫を極力抑え、無駄を減らし、効率的な生産を実現しています。また、JITの適用により、顧客からの注文に対応しやすくなり、生産能力の向上に繋がっています。
このように、トヨタ自動車の生産方式は、プル型生産の成功事例として知られており、世界中の企業に影響を与え、広く採用されるようになっています。
プル型生産は、需要に合わせて生産を行うため、以下のような領域において相性が良いとされています。
- カスタムメイド製品：製品の仕様が多様で、需要がばらつきやすいカスタムメイド製品において、プル型生産は有効です。カスタマイズの注文が入った時点で、その製品を生産することができます。
- 複数のバリエーションを持つ製品：同様に、製品のバリエーションが多く、需要がばらつきやすい製品においても、プル型生産は有効です。製品のバリエーションに応じて、生産量を調整することができます。
- 小ロット生産：製品の数量が少ない場合や、短い期間で多様な製品を生産する場合において、プル型生産は有効です。在庫を持たずに生産するため、製品の数量が少なくても、効率的に生産を行うことができます。
- 高付加価値製品：製品の付加価値が高く、生産コストが高い場合においても、プル型生産は有効です。需要に合わせて生産を行うことで、在庫を抑えることができ、生産コストの削減に繋がります。
以上のように、プル型生産は、需要に合わせて生産を行うため、需要が不確定である場合や、多様な製品を生産する場合に適しています。また、高付加価値製品や小ロット生産にも有効です。